遺産に不動産(持分含む)、車、保険、株式(投資信託含む)、負債、借家権等がありどのように分割すればよいかわかりません。
現金、預金のような分割のしやすい遺産のみであれば、分割方法は比較的容易ですが、不動産、車、保険、株式、負債、借家権等があると、分割方法はやや難しくなります。

分割方法の種類

分割方法の種類としては現物分割、代償分割、換価分割、共有分割があります。

現物分割

現物のまま分ける方法です。土地建物が2つある場合に、1つはAさん、1つはBさんが取得するといった形で分割します。それぞれの不動産価値に差があるときも、預金等で調整できる範囲であればスムーズに進みそうです。

しかし、それぞれの不動産をいくらと評価するかで争いになってしまうケースや、預金等が少なく遺産の中での調整が難しい場合には難航します。

不動産の評価方法については、互いに不動産業者の作る査定書を出し合い、価格を比較する方法もありますが、査定額は不動産業者による価格操作が入りやすいので、互いに信用できず折り合いがつかないことが多いです。
その場合には、公的な価格である固定資産税評価額や相続税評価額で比較しあって差額を調整するという方法をとることもあります。

代償分割

遺産をだれか一人(あるいは相続人の一部の複数人)に現物で取得させ、その価値に相当する金銭を他の相続人に支払うという方法です。

その遺産の価値をどう評価するかについて特に争われやすいです。
遺産を現物で取得する側からしたらできるだけ安く評価したいので、固定資産税評価額で評価してほしいと主張することがあります。
代償金をもらう側からすればできるだけ高く評価したいということになり、時価で評価してほしいとなります。
時価で評価することになっても、その時価額はいくらなのかで争いになります。

最終的には不動産鑑定士による鑑定を要することもあり、そのための費用で数十万円から百万円以上の報酬を要することもあります。

代償金が高額になりやすいので、その支払方法(分割にするか、ローンを組んで一括で払うか、どのタイミングで支払うか)についても協議が必要です。

換価分割

遺産を売却してお金に換え、そのお金を分けるという方法です。
遺産を相続人が協力して売却するにあたっては、お互い高く売れたほうが良いということで相続人同士の利害が合致しますので、価格で争いになることは少ないです。

ただ、売却自体に反対している相続人がいるとこの方法はとれません。

共有分割

単に共有する(不動産ならそれぞれが持分登記を入れる)という形で遺産分割を終える方法です。
いったん共有にしておき、然るべきタイミングで一緒に売却する等、柔軟な解決をできる利点があります。

ただし、収益不動産の場合等は特に、共有期間中の利益や費用の配分等について取り決めておいたほうが良いです。
また、事情の変化により共有物の処分方法に折り合いがつかなくなる場合もあるので、その場合には共有物分割請求訴訟まで発展するおそれもあります。

分割方法の選択

現金・預金以外の遺産が一つあるだけでも、どの分割方法を選択するのか、その遺産をいくらと評価するのか、代償金等の調整方法はどうするのか等問題は次々とでてきます。

不動産・車等は査定で一応の評価額を確認し金額を合意することが可能ですが、株式については日々時価が変動するという問題もあります。
それぞれの遺産の性質に応じた分割方法を検討する必要があります。

負債については、相続人間で誰が負担するかを決めても、債権者からすれば関係ありません。
全員に分割請求することが可能ですので債権者との調整が必要になります。

また、被相続人が借家や借地に住んでいれば、その賃貸借契約関係も整理しなければなりません。
相続後に家賃滞納を起こしてしまうと全員が滞納分を請求されうる地位に置かれますので注意が必要です。

現金・預金以外の遺産がある場合には、容易く考えず、弁護士に相談し、裁判になったらどうなるか、負債や借家のように隠れた問題がないかといったことを整理して、遺産分割協議を進めることをお勧めします。

上原子 将巨

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