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Q.建物・土地の明渡し請求をしたいのですがどのような方法がありますか【不動産のご相談事例】

建物・土地の明渡し請求をしたいのですがどのような方法がありますか?

建物・土地の明け渡しを求めるためには、不法占拠の場合を除いて、まずは建物・土地の賃貸借契約等の占有権限を消滅させる必要があります。

賃貸借契約の終了原因

賃貸借契約等の終了原因としては

 

  • 合意解約
  • 法定解除
  • 更新拒絶
  • 解約申し入れ

が考えられます。

 

合意解除

貸主、借主で協議の上、賃貸借契約を解除することを言います。

 

合意解除は、あくまでも任意の協議によるものですので、未払い賃料の清算、敷金等の返還、明渡時期、原状回復の範囲等について、柔軟な取り決めをすることが可能となります。

 

法定解除

法定解除は、借主側に債務不履行があった場合に、貸主が一方的に賃貸借契約を解除し、直ちに明け渡しを求める主張になります。

 

ただ、賃貸借契約の法定解除は、何らかの債務不履行があればすぐに認められるわけではなく、当事者間の信頼関係を破壊したといえる程度の債務不履行が必要になります(信頼関係破壊の法理)。

 

例えば、賃料の1カ月程度の未払いは、債務不履行ではあるものの、賃貸借契約の解除まで認められるわけではありません。目安としては3カ月程度の未払いがあって初めて、信頼関係を破壊するほどの債務不履行とされ、法定解除が認められることになります。

 

また、原則としては、一度賃料の支払いを催告し、かつ、相当期間内に支払いがない場合に解除をする必要があります。

 

この「催告」と「解除」の意思表示は、法定解除のための手続きとして必要になりますので、きちんと証拠に残る形で行う必要があります。そこで、内容証明郵便にて、催告と解除の意思表示を行います。

 

更新拒絶

更新拒絶は、賃貸借契約に期間の定めがある場合に、期間満了時に契約を終了させる手続きです。

 

1 建物の場合

 

建物の賃貸借契約の場合、貸主は契約期間満了日の1年前から6か月前までの間に、更新拒絶通知を借主に出す必要があります(借地借家法26条1項)。

 

また、この更新拒絶通知をした場合であっても、契約期間満了後に借主が建物の使用を継続しているときは、これに対して貸主は遅滞なく異議を述べることが必要です(同法第26条2項)。

 

2 土地の場合

 

土地の賃貸借契約で借地借家法の適用がある場合は、借主のほうから契約の更新を請求する必要があります(同法5条1項)。

 

ただし、借主が更新の請求をしなくても建物が存在し土地の利用を継続していれば、契約の更新をしたのと同じ効果が発生します(同法5条2項)。

 

地主は、これに対して異議を述べることができます(同法5条1項但書)。

 

3 正当事由

 

建物の更新拒絶通知や異議、また、土地の更新に対する異議において、賃貸借契約を終了させるためには、「正当事由」が必要になります(同法28条、6条)。

 

この正当事由については、後述します。

 

解約の申し入れ

賃貸借契約に期間の定めがない場合、あるいは、法定更新等によって契約期間の定めがない状態になっている場合には、貸主は、「解約の申し入れ」をすることにより、賃貸借契約を終了させることができます。

 

1 建物の場合

 

建物の場合は、解約申し入れから6か月(借地借家法27条1項)が経過し、かつ、正当事由(同法28条)がある場合に、解約が認められます。

 

なお、建物の使用の継続やこれに対する異議については、更新拒絶の場合と同様になります(同法27条2項)。

 

2 土地の場合

 

土地の場合は、借地借家法の適用があるときは、解約申し入れによる契約の終了は認められません。これは、借地借家法により、期間の定めがなければ存続期間は30年とされるためです(同法3条)。

 

他方、土地であっても、借地借家法の適用がない場合(駐車場や資材置き場等の建物の所有を目的としない契約)で、期間の定めがないときは、解約申し入れをすることで1年経過後に契約は終了します(民法617条1項1号)。

 

借地借家法の適用がない場合であれば、期間の定めがあるときであっても、解約権を留保していれば、解約の申し入れをし、1年経過後に契約を終了させることができます(同法618条)。

 

なお、これら土地の賃貸借で借地借家法の適用がないケースであれば、解約の申し入れに正当事由は必要ありません。

 

したがって、駐車場等の賃貸借契約は比較的容易に契約を終了させることが可能といえます。

 

正当事由

土地・建物の更新拒絶、または建物の解約申し入れの際に必要とされる「正当事由」が認められるかどうかは、次の事情を考慮して判断されます(借地借家法28条、6条)。

 

  1. 賃貸人及び賃借人が建物・土地の使用を必要とする事情
  2. 建物・土地の賃貸借に関する従前の経過
  3. 建物・土地の利用状況(建物の場合は建物の現況)
  4. 賃貸人が建物・土地の明渡しの条件として又は明渡しと引換えに賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出

基本的に最も重視されるのは、上記1の双方の使用の必要性で、他の2~4の事情は補完的要素であるとされています。

 

例えば、上記4の事情はいわゆる立退料を意味することが多いですが、仮に、賃借人の建物・土地の使用の必要性が乏しい事案であれば、立退料の支払い無しで正当事由が認められることもありえます。

 

反対に、賃貸人の使用の必要性が乏しい事案であれば、立退料の提供を行っても正当事由が認められないということがあり得ます。

 

 

上原子 将巨

不動産関連の事件は、必ずしも契約書の文言通りに事が進むとは限りません。
判例知識や諸々の費用、期間、労力等、実務的知識も踏まえて方針を固める必要があります。
幅広い知識・経験を有する弁護士にご相談ください。

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事務所名 弁護士法人ポルト法律事務所
代表者 上原子 将巨(かみはらこ しょうだい)
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